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片寄せ海岸に寄せて

久しぶりの更新です。


今、関西へ向かう新幹線の中です。


今日の東京はとてもあたたかでした。


お昼に、
薬研堀の若い柳が、
風にもつれて反射しているのを見て、
新しい季節が押し上げてくる、
生命力みたいなものを感じました。


なかなか、
ブログに書く言葉も見つからず、
長らくすみませんでした…


ゆうべ、震災後、はじめて湯船に浸かりました。


幸せが申し訳なく感じます。



高円寺はしばらく、
六時までの営業となりますが、

お店でお会いするお客様が、

「ほっとしたいから来ました」と
言ってくださるお声を聞き、

お水やお米を扱うでもないうちのような店でも、

お迎えする意味があるのかなあ、と
弱った気持ちが少し、息を吹き返したような気がしています。



私は新宿のすぐ横にある
初台という街で育ちましたが、
引っ越して二十年経っても、
引っ越しの日に、街を見下ろせる屋上を訪れています。


今年もこの前、
公園や通学路をうねうねたどって、
思い出の答えあわせ、みたいな散歩をしてきました。


様変わりした店もあれば
いまだ面影をとどめた風景にも出会えます。


私の知っている街。
私を知っていた街。



震災と津波で
ふるさとを奪われた人々の想いは、
はかり知れません。


愛した眺めがあのように失われ、
それでもここを離れたくない、
とお話される方がたくさんいて

ご家族の手がかりと奇跡を願っているニュースを見ると

本当に言葉を失ってしまいます。



大学生の時に、
一人で岩手を1週間旅したことがあります。


夜行列車で、
凍えるような霧の朝
盛岡駅に着いてすぐ、

ロータリーで出会ったご婦人に声をかけられ、

娘と年が近いから、心配だから毎日連絡して、

と電話番号を交わしました。



その夜から
民宿をかわるたび
本当に毎晩電話をして、

すっかり親戚みたいに打ち解けたのです。


後半、遠野市に着いた時には
おじいちゃまとお車で来て下さって、
色々案内して頂いて。

(初対面ですよ、本当に)


最終日はご自宅へも招かれたりで
もはや一人旅ではなくなっていました。


あちらで出会えた皆さんは
本当に親切な方ばかりでした。



海外の新聞で、
この窮状での日本人の生真面目さ、
礼儀正しさ、
忍耐強さ、冷静さ、が評価されていますが、

私の旅先の記憶も
そこにあたたかさが加えられています。


人と関わり合う濃度や温度に
頭が下がる想いでした。


日記と手紙を書くための
学生時代ならではの
やや感傷的な旅でしたが、

私のお目当ては宮沢賢児記念館に並んで、

田老町、大槌町にほど近い
浪板海岸。

通称、片寄せ海岸という浜に行ってみたかったのでした。


波が寄せるだけ。


返していかない、ので片寄せ。


とても珍しい現象だそうです。


寄せるだけ、なんてことがあるだろうか。


寄せ続けるという、
一方的な波が存在するのだろうか。


バスでたどりついた田老の町は
本当に静かで、
古い写真みたいでした。



誰もいない。

誰もいない、白い岩場に出て、波を追うと、


本当に、
こちらへ寄せて、
消えて、
次が寄せるだけでした。


不思議過ぎて
二時間位、
海を見ていました。


波は寄せ続けました。



こんなに与えるだけの波があるのだから、
答えや返事がいらない、という形もあって、

無償という想いだって
この世にはあって然るべきなのだろうなあ、

と、若い私は、そう思ったのでした。


ぬるい陽が、
書き物をする私の髪やペンに影を落として、

誰の気配もしない
静かな午後でした。


生涯学習の町、田老
と看板の立つのどかなバス通り。


住んでいたこともない、
そのただ一度、
訪れただけですが
私が知る二十年前の海辺の街。

あの日だまりの静けさとあまりにかけ離れた、
津波の映像の恐ろしさ。


宮古で船に乗り、
かもめにパンを投げた、明るい港の風景。


美しい浄土が浜の
空と海を分かつ白波。


日の出を見に行った
明け方の船着き場の漁師さん達。


どうしても信じられず、
悲しいです。


それでも
ひとつきも空けず
思い出として語れるような距離感に私はいる。


遠くから偲ぶばかりの申し訳なさでいっぱいになります。



長い時間がかかっても
あの優しい海辺の街の皆さんが
もう一度ふるさとを築いていけるように
大切にしたい思い出がまたちゃんとはじめられるように

心からお祈りしています。


今年の春は北から始まってほしいくらい。

梅や桜にほころぶような
穏やかな一息が、
本当に少しでも、
どうぞ訪れてくれますように。



私は明日から西宮阪急で、
コラージュ教室と出店催事。

西の夜景を明るく感じそうです。
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PROFILE

vanilla chair まえをけいこ。

Author:vanilla chair まえをけいこ。
絵本作家、雑貨作家、
高円寺雑貨店vanilla chairバニラチェアー店主。
オリジナルベビー服のデザイン製作、雑誌のスタイリング、店舗プロデュース、ディスプレイ等幅広く手がける。
愛犬モンポウを溺愛、並びに昭和アイドルをこよなく愛する一面も。

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